トルコでの「集会・結社・言論の自由の侵害」

「世界難民の日」に川口市のMギャラリーで企画展を開催しました。その時に展示した資料を転載します。トルコにおける「集会・結社・言論の自由の侵害」です。クルド人があらゆる政治活動を保証されている、とはとても言えません。

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2023年5月28日のトルコ大統領選の決選投票でレジェップ・タイイップ・エルドアンが勝利した。BBCはその翌日「今後、野党やLGBTQコミュニティはさらに標的にされ、人権や言論の自由への侵害も、これからの数年間で悪化する可能性がある」と報じた(1)
2022年には国際人権NGOヒューマン・ライツ・ウォッチ(HRW)が「トルコのエルドアン大統領は、人権と民主主義の規範を前例のないほど破壊している」と指摘している。その人権侵害の一つがクルド政党やクルド人政治家に対する弾圧である(2)
2015年にトルコ政府とPKKの和平交渉が頓挫し、2016年7月にクーデター未遂が起きると、約5万人が逮捕、約180のメディアが閉鎖された(3)
2016年11月、トルコの治安当局は、クルド人が支持する政党である人民民主党(HDP)の共同党首のセラハッティン・デミルタシュとフィゲン・ユクセクダーと議員十数人を逮捕した。HDPは合法政党としてトルコ大国民議会で第3位の59議席を持つ政党であった。欧州人権裁判所(ECHR)はデミルタシュ氏を即時解放しなければならないとの判決を下しているが、トルコ政府はそれを無視した。選挙で当選したHDPの多くの市長も投獄され、政府が任命した市長に置き換えられた。1万6000人を超えるHDPの党員や支持者らも逮捕されている(4)。さらに2021年、トルコの検察は憲法裁判所に対し、HDPの解党を要求した。これに対しHDPは「民主主義と法への大きな打撃」だと批判している(5)。トルコ当局によるメディアへの管理・統制も強まっており、数十人のクルド人ジャーナリストが拘束・逮捕されている(6)
トルコ政府が「テロ対策」の名の下にクルド人の政党や政治家、ジャーナリストを弾圧し続けていることは、米国国務省の「人権慣行に関する国別報告書」でも指摘されている(7)

(1)BBC NEWS JAPAN[2023年5月29日]トルコ大統領選、再選で勢いづくエルドアン氏 今後予想される展開は
(2)FNNプライムオンライン[2021年4月1日]トルコの「不都合な現実」から目を逸らすな エルドアン大統領の独裁化と後退する民主主義
(3)毎日新聞[2017年7月14日]進む粛清 クーデター失敗1年、逮捕5万人
(4)ParsToday[2020年12月14日]トルコが、同国のクルド系野党HDPのメンバー1万6000人以上を拘束
(5)Newsweek[2021年03月18日]トルコ最高検、クルド系政党の解党申し立て 米は批判
(6)HUMAN RIGHTS WATCH/TurkeyEvents of 2020(https://www.hrw.org/world…/2021/country-chapters/turkey
(7)U.S. Department of State[MARCH 20, 2023]2022 Country Reports on Human Rights Practices: Turkey (Türkiye)(https://www.state.gov/…/2022-country-reports-on…/turkey/