12月10日の日本語教室

12月10日の日本語教室の報告です。
今回もボランティアに参加してくださった方からの感想を紹介します。

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11月12日以来の参加でした。
最初は家族連れでいらっしゃっている女性Zさんを担当。会話は苦手ということで、日本語能力試験N2のテキストを一緒に進めていきました。ただ、時おり話しかけてみたところ、日常のやりとりはほぼ問題なく出来ています。N2レベルの日本語習得にはこうした簡単な日常会話こそ有益なはず。実は以前教えたときにも感じたことですが、この教室に訪れるクルドの女性たちは──男性陣に比べて「外部」と触れる機会が少ないためか──自らの日本語能力を過小評価する傾向を感じます。こうした自己評価の低さを出来るだけ払拭してあげるよう、積極的に話しかけるのもこの教室では大事なことかもしれません。

11時過ぎからは人が入れ替わり、16歳のB君を担当。同世代の男の子3人と来ていたようで、自分だけテーブルを離れて私とマンツーマン。それが不安?なのか、ちらちらと仲間のほうを見ていたのがかわいらしいやら、ちょっと気の毒なような。来日してまだ3か月ちょっと、ひらがなの読み書きも難しかったため、どこから手を付けるか悩みましたが、前回教室に来たとき「数字の読み方」を学んだということで、そこを突破口に進めていくことにしました。大きい桁の数字の読み方やカレンダー、生年月日の言い方など。

途中、手持ちの教材が尽きてしまって途方に暮れかけたのですが、隣の席で教えていたYさんがすかさず「簡単な四則計算を一緒にするのはどうですか?」とアドバイスをくれ、そこからさらに押し進めていくことが出来ました。大変助かりました。わたしたちは日本語教育のプロではなく、教え方もひとりひとり手探りです。ゆえにボランティアそれぞれが培ったコツやアイデアを教え合うのは大変役立ちます。ひいてはそれは、ここに通う人たち全員の利益になるでしょう。

この教室はいわゆる普通の日本語学校に比べ、通ってくる人たちのニーズやレベルが本当にバラバラです。本格的な試験対策に来る人もいれば、ただ話し相手を求めている人、学校や役所の手続きに迫られている人、まだ自分が何を学びたいのか分かってない人もいます。そして、そのどれもがひとしく切実なのです。通常の日本語教育のメソッドでは到底対応しきれない、こうした多種多様なニーズ。それに応えるため、この教室のボランティアの皆さんが実施で積み上げたノウハウを、いずれどこかでまとめたほうがいいかもしれませんね。

最後、この教室では全員参加の挨拶があります。日本人はトルコ語で、クルド人は日本語で簡単な挨拶をするのですが、そこでは今まで「先生」として振る舞っていた我々も、トルコ語を教わる「生徒」になります。ここで参加者全員が同じ「人間」同士に戻っていくようで、毎回とても楽しみにしているのですが、今回は最後にひとり、クルドの方がクルドの歌を披露してくれました。その歌声と旋律の美しさ。慌ただしい授業の終わりに、そこだけ一瞬、時間の流れが止まったようでした。

(F.K./メディア勤務)